サクラ達が凪麻呂を探すため奥へと向ったころ 三河の岡崎城に神代ユダはいた
ユダは御頭へと報告をしたあとまたしてもサクラ護衛の忍務を与えられてしまう 御頭いわく
「その娘の行方がわからなくなっているのだ 我らの中で唯一かの娘の顔を知っているのはお前だけだ」
ユダは仕方なくサクラを捜すことにした だが何処に行こうと誰に聞こうと足取りが掴めない 金髪で藍い目をした娘などそうはいない だがサクラの姿を見つけることが出来なかった
「一体 どこへ行ったんだあの小娘は…」
岡崎城の木の上に立ちユダは考えていた ふと門前に目を向けると虎\裁禅師が入ってくるのが見えた 虎裁は目付の所へ行き何かしきりに話をしている
どうやら虎裁は自分の作った生産品の品定めをしてもらっているようだ 大袋に入れた物を取り出しては 時に喜び 時に落ち込んでいる
そんな虎裁を見ているうちにユダはハッと思い出した
「そうだ虎哉さんに聞けば何かわかるかもしれない あの小娘は虎裁さんから槍の稽古をつけてもらってるんだった」
木から降りようとしたとき虎哉のあぁ~~~!という声でユダは立ち止まる 何事かと思い虎裁を見てみると虎裁は陰陽寮の方を見ていた ユダもつられて陰陽寮を見る すると陰陽寮の中から一人の僧が出てくるのが見えた
陰陽寮から出てきたその人物はサクラや純菜よりも幼くみえる容姿をしていた
どこから見ても子供にしか見えないのだがその手には身長にあわない大きな薙刀が握られている
その見た目子供の僧に虎裁は話かけていた
「あ、葵どの! 帰られてたのですか」
「ついさっきね 何なの大声だしてみっともない」
この僧は杉浦葵 徳川家に仕える僧である
見た目子供ではあるが虎裁よりも長く徳川家に仕えている 葵は虎裁の師匠なのだ
「あぁすみませぬ 捜していたのですよ葵どの 今までどちらに行かれていたのですか?」
「ちょっと野暮用があってね で、捜していたって何かあったの?」
「あのですね 葵どのが岡崎にいなかった時にですね 弟子志願の者が来ていたのですよ」
「弟子なら本堂僧都に言えばいいでしょうに?」
「いえ そうではないのですよ 槍の、槍術の弟子志願者なのですよ」
「ふぅ~ん なるほどね で、その弟子志願者は何処にいるの?とりあえずあってみたいんだけど」
「それが…どうやら浜名湖へ向ったようでして しかしなかなかに腕のたつ娘ですよ 名を御堂サクラといいまして」
「なんだって!!」
おもわず大声で叫ぶユダ ユダは木の上から虎裁禅師の前へ飛び降りた
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