「うぉりゃあぁぁぁ!」
ガキンという音が洞穴に響きわたり弾十郎と秀人の攻撃が大蜘蛛に当たる だがその強力な一撃をもってしても決定的な一撃とはなっていない
何度も攻撃をくりかえすが大蜘蛛の様子はかわっていない 逆に攻撃している弾十郎達の方が疲労しているぐらいだ
「くっそ~!こいつ硬すぎるぜ なんだってんだ」
「このままだと危ないでござるな…」
サクラと純菜は弾十郎達が大蜘蛛の攻撃を受けるたび治療の術を使っている サクラと純菜の献身的な治療のおかげで弾十郎達は回復しているのだが
ちらりと弾十郎はサクラと純菜を見てみる 今のところなんとか頑張っているみたいだが二人の疲労が目に見えて分かってきた
弾十郎がこちらを見ているのに気がついたサクラがいう
「わ、私たちのことは気にしないデ 弾さん達はあの大蜘蛛に集中しテ」
「でもサクラちゃんあの大蜘蛛なんだかおかしくない? あれだけ攻撃してるのにまだ動きが変わらないなんて」
「確かにおかしいわね…純菜ちゃん少しお願い」
サクラは日輪印を結びそれを大蜘蛛へと向ける サクラは薬師の修行をしていくうちに普通の人では見えない流れがあることを知った
侍などは気の流れから相手の攻撃を予測するといったことが出来るらしいがそれと似ているかもしれない
「こ、これハ!」
傷があればその流れが滞るのだがこの蜘蛛にはそれがない それどころかあきらかに回復している兆しがある
「ま、まさか再生?そんなものまで使えるなんテ・・・」
サクラが大蜘蛛をみているあいだにも弾十郎達の攻撃は大蜘蛛に当たってはいるのだが大した痛手にはなっていなかった
「サクラちゃん それ間違いないの?」
「うん…どうみても活身と同じものを使ってるとしか思えないノ」
「それなら!サクラちゃん交代」
純菜は金剛鈷印を結び念を込める そしてはぁ~という声と共に右手を大蜘蛛にかざす 先ほどの混沌と同じく黒い光が純菜の手から出ていた 大蜘蛛の頭上から黒と赤の混じった霧が降り注ぐ
呪詛の名は禁呪 生命力を奪っていく技である
大蜘蛛が吼えた再生の力が消え逆に呪いをかけられたからだ 大蜘蛛は弾十郎と秀人を突き飛ばし純菜へと襲い掛かった
「純菜ちゃん あぶなイ!」
大蜘蛛が純菜に襲いかかろうとしたその時である 空気を切り裂き飛んできた衝撃波が大蜘蛛を吹き飛ばした
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