尾張ー三河の関所までたどり着いた この関所を抜ければ三河である
そして関所を抜け三河へと入る 尾張ー三河間から岡崎城は近い 少し歩いていくと城の輪郭が見えて来た
「あそこの町に純菜さんがいるのネ」
さほど時間をかけずに門前へと到着した 衛兵にお辞儀をしながら門をくぐり中にはいるとそこにはいっぱいの桜が咲き誇っていた あまりに綺麗な桜並木にサクラは見とれてしまっていた
その立ち並ぶ桜の木々を眺めながらサクラは故郷のことを思い出していた
「私の故郷にもこんな桜があったわネ」
サクラの故郷 伊予の国は土佐、阿波、讃岐の4つの国が同盟し四国と呼ばれている
その四国をまとめているのが土佐 長曽我部家であった 長曽我部家は異国に興味を持ちその技術を取り入れ四国は独自の文化を作り上げていた
そしてその1国 伊予の国でサクラは生まれたのである
行商人であるサクラの父、御堂宗右衛門が本土から帰還する途中難破船をみつけた その船はどうも外国の商船らしく日本のそれとは形が違っていた
さすがにもう誰も残ってはいないだろう そう思いつつも一様その船を調べることにした 助ければ恩を売り商売が上手くいくかもしれない そういった打算からだ
調べたところ一人の女性が取り残されていた それがサクラの母である 名をサラフォニカ・ルターという 金髪で藍眼の美しい女性だった
そして二人は夫婦となり生まれたのがサクラである だがサクラを生んだ後サラフォニカは他界してしまう
幼きころのサクラは身体は丈夫であったが内気な子供だった だが今は戦国の世 何が起こるかわからない
宗右衛門はある日 娘に1本の槍を渡した
「サクラよよく聞きなさい今の世は何があるか分からない 自分の身は自分で守らなければならない だから槍術を覚えなさい」
その日からサクラは庭先で槍を振る毎日が続いた そんなある日、長曽我部家の家臣である香曽我部近安が伊予の国の視察に来ていた そこでたまたま通りがかった庭先で見事に槍を振るう娘を見かけたのである そして宗右衛門に娘を預からせてくれと相談を持ちかけてきた
「荒削りではあるがなかなか面白い 異国の血がそうさせているのか分からないが…この娘、預からせてはもらえないか?」
ものめずらしさからの相談事であったかもしれないが 宗右衛門は娘の内気な性格が治るかもしれないということと生きていくための槍術の上達が見込めるのならと香曽我部家にサクラを預けたのである
その後サクラは槍術の腕を上げていった 近安はこれ以上のことは教えられないと思い サクラを美濃にいるであろう宝蔵院流の先生のもとへ向かわせたのである
「お父様は元気かナ それに香曽我部様モ… さってと!とりあえずここの事も何も知らないシ 純菜さんを見つけて聞いてみるのがいいかナ」
両替宿には人もたくさんいることだろう そう思いサクラは桜並木を後にした
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