日輪印を結びそこから凪麻呂を見ていたが見えるものは黒く不快な邪気だけしか見えない
何かあるはず と、サクラはさらに集中し凪麻呂を診ていた
「ネズミが増えたところで同じことよ 貴様らがここで死ぬことには変わりはない」
凪麻呂の口からその言葉が出たのだが凪麻呂本人の意思ではない
凪麻呂に憑り付いている何者かが話してきているのだが それを聞いた真希が突然笑いだす
それを見た凪麻呂が怒りをあらわにする
「何が可笑しい」
「可笑しいったらありゃしない お前みたいに憑りついて影からコソコソしてるような奴にあたし達が殺れるわけがない!」
「なんだと!!」
「いいからネクラはそこで待ってろ!行くぞみんな!」
真希は跳躍し小刀を振りぬくと雷雲がたちこめる その雷雲から稲妻が落ち亡者達を撃ち抜いていく
「イィヤッハァアアアア」
真希は亡者が群れている場所へと着地すると両手に持つ小刀をふるい近くにいるものから切り刻む
その姿はまるで小さな竜巻のようでもあった くるくると回転しながら亡者を斬っているのだが亡者達はその姿を追えてはいなかった
そしてユダ、謙一は足元に煙球を投げその姿をくらます
弾十郎と紅の体が青い光りに包まれる 闘気を使い体を強固に変換させる技、鎧の極みを発動させる
「おらおら!かかって来いよ!」
弾十郎は亡者を挑発する それに反応した数体の亡者が弾十郎へと向ってきた
「おっとそれ以上近づけさせねぇ!」
真鉄の火縄銃が火を噴いた すばやく玉込めをおこなった火縄銃から連続で放たれる
鉄砲の乾いた音が洞穴に響き弾十郎へと向かっていた亡者達の体のあちこちに風穴が空いた
「弾ちゃん無茶すんなよ そして俺にもまわせ撃ち抜いてやっから」
「俺より後ろに行ったのは真ちゃんにまかせるよ まぁ本郷さんと紅がいるから安心だけどな」
それを見た純菜が弾十郎へと活身をほどこそうとしたのだがまだ足元がふらついている
それでも純菜は弾十郎へと術をかけようとしている それを見た葵が
「純菜お待ち 回復してあげるから」
葵は大金剛輪印を結び詠唱をとなえる
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
薬師には治療の触媒として水が必要であるが僧はその祈り自体に回復の効果がある
なぜ違いが出来ているのかというと薬師は自然の力を利用し 僧は仏の力を利用しているからだ
葵は薬師瑠璃光如来の力を借り純菜を回復させる
純菜に手をかざすと純菜の体が淡い緑の光に包まれる 薬師のそれと違い霧のようなものとは違う
淡い光に包まれた純菜はまるで誰かに抱かれているような感じがした
「ありがとう御座います」
力を取り戻した純菜は急いで弾十郎へと活身の術を使う
みんなそれぞれに戦っている中サクラは焦っていた 凪麻呂から伸びているであろう糸のようなものがどうしても診えてこない
その焦りがサクラの集中力を奪っていた 必ず診えると思っていたものが診えないこれでは凪麻呂を倒す もしくは殺してしまわなくては今の凪麻呂を止めることは出来ない
どうして…なぜ見えないの…サクラの中で焦りが大きくなっていたとき秀人の声が聞こえた
「サクラどのあせってはいけないでござる」
「でも…」
「このぐらいでやられるような人はいないでござるよ 拙者も命をかけてサクラどの達を守りとおす所存にて安心して集中してくだされ!」
秀人は笑顔でそう言った 秀人のその励ましに応えなければ、サクラは大きく深呼吸をした
そして凪麻呂を診る 診る 診る……
あっ!という声を思わずサクラは口にしていた
凪麻呂を覆う黒い邪気から伸びている細い糸のようなものを発見したからだ
「これだワ!これがあるということは凪さんは中から操られているんじゃなイ 外からなんダ」
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