サクラは大きく深呼吸をした、そして金剛鈷印を結び詠唱をはじめる かつて鷹の小鳥を助けた時も純菜はかなり消耗していた
鷹の小鳥を助けるだけであれほどの力を必要としていたのだ 今のサクラにはそのような力が果たしてあるのか?
疑問をおぼえつつもサクラは詠唱を唱える声に力を込めた
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」
純菜が鷹の小鳥を助けた時の様に念を込め始める サクラは純菜にかざしてある手が暖かくなるのを感じた そしてサクラの手に光りが集まる
迷ってはいけない雑念を全て捨て集中しなければ サクラはさらに念を込めていくとその光りはさらに輝きを増していった
(まだまだこんなものでは…)
サクラはさらに念を込めると輝きはさらに増していく サクラは集中していた純菜を絶対に助ける この思いが今のサクラのすべてであった
サクラはさらに気合を込め集中する すると純菜の上に小さな光球が現れた
その光球は徐々に大きくなっていく まるで純菜をおおい隠すかのような勢いで
弾十郎達と戦っていた亡者の一体がサクラへと向かって歩き出した まるでサクラの放つ光に吸い寄せられるように
サクラは蘇生に集中しているので気がついていない 亡者は腕を伸ばしサクラを掴もうと腕を伸ばす
しかし掴むよりも先に亡者の腕は切り落とされた そこには槍を持った紅が立っている
「………邪魔は……させない」
サクラへと腕を伸ばした亡者を紅が止めた そして槍を亡者の胸深く打ち込むとそのまま押し倒す 仰向けに倒れた亡者の頭を紅は踏み潰した
「すまん紅 助かった!」
「護るぞ!ここから先は一歩も通すな!!」
「おぉ!!!」
弾十郎が吼え真鉄、秀人、銃がそれに呼応した、そしてそれぞれが迫り来る亡者を止めていく
圧倒的な数の差があるのだがそれでも弾十郎達は亡者の群れを食い止めていた
純菜の上に現れた光球は輝きを増しながら大きくなっていった
「は~ッ!!」
サクラはその光球を純菜に導く、光球はゆっくりと純菜の体の中へと吸い込まれるように入っていった
その瞬間純菜の体が光に包まれる その輝きは消えることなく純菜を包んでいる
この輝きはサクラの思い 純菜を助けたいと思う心が具現化されたものといってもいいだろう
光に包まれた純菜の体が徐々に治っていく 痛々しかった火傷が元の綺麗な肌へと変わっていく
顔にも生気が宿ってきたようにサクラにはみえた これで後は魂が戻れば
そう思ったときサクラは力尽き純菜の横へひざまずく あまりの緊張と使い慣れない術を使ったための疲労かもしれない
しかし今はそんなことを気にしてはいられない 純菜はどうなったのか!?
サクラは純菜の顔を覗き込んでみると純菜は小さく息をしていた 先ほどまで何も吐いていなかった純菜が息をしている
サクラは純菜の胸に手を置いてみる すると純菜からしっかりとした心臓の鼓動がサクラの手に伝わってくる
「純菜ちゃんガ…純菜ちゃんガ…」
「サクラちゃんどうなの?成功したの?」
まおが聞くとサクラは涙を流しながらうなずいた
「はい成功です 純菜ちゃんの魂を呼び戻すことができましタ」
サクラは泣きながら純菜を見ていた よかった、本当によかった
本当は不安だった自分の力が足りなかったら もし失敗して純菜を呼び戻すことが出来なかったら
そうなれば純菜は二度と目を覚ますことはなかっただろう
しかしまおは出来るといった その言葉に嘘はなかった こんな私でも純菜を助けることが出来たのだこれほど嬉しいことはない
純菜と出会い 小鳥を助ける純菜を見て薬師の道を選んだサクラ
足元にも及ばないとおもっていた純菜を自分の力で助けることができた これで私もこの人の足元辺りには追いついたのかな?と思った瞬間だった
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