皆、唖然としてサクラと純菜を見ていた ただサクラの泣き声だけが聞こえてくる
弾十郎は泣きじゃくるサクラに手を伸ばそうとしたとき凪麻呂の声が聞こえてきた
「チッ 縛が解けたか…まぁいい一匹は逝ったようだな」
凪麻呂はそう言い放った さもつまらないことでもあったように言ったその言葉が弾十郎の頭の中を駆け巡る
プチンと何かが切れたような音が聞こえた気がした そして言葉よりも早く体が先に動く
ダン!という音を残し弾十郎は駆け出した
「な~ぎ~!!」
みんな倒れた純菜を呆然と見ていた中、弾十郎だけが凪麻呂へと突進していく 拳を硬く握り締めた弾十郎は凪麻呂へ向かって叫んだ
「てめぇ 何やったのか分かってんだろうな!!」
弾十郎は叫びながら凪麻呂へと向っていく だが凪麻呂は避ける様子もなくただスッと片手をあげるとその手を振り払った
すると凪麻呂が立っているあたりの地面がボコボコとせりあがりそこから手が飛びだしてきた
手だけではない地面から這い出てくるものがあった 地面から這い出てきたのは亡者だった
地面から出てきた亡者は弾十郎の前に立ちふさがると弾十郎の突進を止める
いつもの弾十郎であれば亡者ごときで止められるはずはないのだが 今の弾十郎の瞳には凪麻呂しか映っていない
それでも何とか亡者を引き剥がし凪麻呂へと向かおうとしたのだが
「……身の程知らずが 思い知るがよい」
凪麻呂がさらに手をはらうと突風がおこる、その突風は弾十郎と亡者をかるく巻き込み吹き飛ばした
飛ばされてくる弾十郎を秀人が受け止める 亡者はそのまま吹き飛ばされ壁へと激突した
「弾ちゃん 闇雲に向っちゃダメよ」
「奴が! 何したかわかってんのか!」
静止するまおに弾十郎は凪麻呂を指差し怒鳴る 弾十郎はこれほどの怒りをおぼえたことはなかった
凪麻呂はなんの表情もあらわさずその場にたたずんでいる
「えぇわかってる けど今の凪さんは普通じゃないのよ 人がこれほどの邪気を持つなんて私は聞いたことがないもの 何かおかしいのよ」
「じゃあ 引き下がれって言うのか!!奴は…奴が…」
「そうじゃない 今すべきことは」
そういうとまおはサクラに抱かれた純菜を見た そう今は一刻も早く純菜を助けなければならない
しかしそれにはサクラの力が必要なのだが その肝心のサクラは純菜を抱え泣き崩れている
「貴様らはここで死ぬのだ」
凪麻呂の声に同調するように地面が盛りあがる わらわらと地面から這い出てくる亡者が凪麻呂の周辺に現れた
そしてその亡者達はジリジリとサクラ達がいる場所へ迫ってくる 亡者はサクラ達を取り囲もうとしていた
「来るでござるよ!」
「くそっ!こうなったらとことんやってやる!本郷さん、真ちゃん、銃行くぞ!紅はまお達の護衛を頼む」
弾十郎は小刀を秀人と銃は太刀を抜刀すると亡者へと向かっていく 真鉄はサクラ達のいる場所から数歩離れた位置で火縄銃を構える
まおは3人を見送ると泣きじゃくるサクラへとやさしく語りかけた
「サクラちゃん 今、純菜ちゃんを助けられるのは貴方だけなのわかるわよね?」
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