湖のせせらぎと共に微かに聞こえくるその声にサクラはじっと耳を澄ませた
(…如…誓…)
「やっぱり聞こえるこの奥に誰かいるワ まちがいないヨ」
「ってことは凪さんかもしれないな」
サクラ達はその声のする方へと走った その声は湖の奥から聞こえてくる
湖に面している細い道をサクラ達は走った 細い道を抜けると少しひらけた場所があった
そしてそこには祭壇のようなものがありその祭壇の前に人影が見える 祭壇の前にいるのは一人だけ
その人物はこちらに背を向け祭壇に向かっている そして詠唱を唱えているようだった
「あの後ろ姿は 凪さんか?」
ひらけた場所へ入ると弾十郎が近づき声をかけた どうやら祭壇の前にいるのは凪麻呂のようだった
弾十郎はさらに声をかける
「おい 凪さんか? 凪さんなら返事してくれ」
祭壇に向っていた人物は弾十郎の言葉を無視しさらに詠唱を唱えていく その祭壇の上には誰か寝ているようだ
その寝ている誰かに向かって手をかざしぶつぶつと詠唱を唱えている
「おい!聞こえないのか?凪さんなんだろ返事しろよ」
弾十郎は大声で叫ぶするとぴたっと詠唱を唱える声が止まった そしてその人物がゆっくりとこちらを向いた
振り向いたその人物はやはり凪麻呂だった
「やっぱり凪さんじゃねぇか」
真鉄が声をかける しかし凪麻呂は無表情でこちらを見ている
「心配したんだぞ なにやってるんだこんな所でさぁ帰るぞ」
凪麻呂は黙ってこちらを見ていた
「ん?どした何してる凪さん帰ろうぜ ここはやべぇよ」
真鉄が声をかけるが凪麻呂の反応はない サクラとまおは異様な空気を感じ取っていた
それは明らかに凪麻呂から出ている 何かおかしいサクラは思っていた まおも凪麻呂から出る異様な空気を感じ取っていた
「おぃおぃ聞こえてるんだろ凪さん? 帰ろうぜ」
真鉄の問いかけに凪麻呂は静かに口を開いた しかしその口から出てきた言葉は意外なものだった
「またネズミが入り込んだのか……」
「ネズミってなんのことだよ? さぁ帰ろうぜ」
真鉄が凪麻呂に近づいて行く 凪麻呂の顔が険しくなるそして凪麻呂から出ている異様な空気が膨らんだようにサクラは感じた
その膨らんだ異様な空気 邪気が凪麻呂を中心に大きくなっていく
「真ちゃんまって」
凪麻呂へと近づいていく真鉄をまおは静止する 凪麻呂から湧き出る異様な邪気をまおも感じ取っていた
「術は完成した だが貴様らは邪魔だな」
「おぃおぃ なに言ってんだ凪さん!?」
凪麻呂は両手を大きく広げた
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