翌日、サクラ達は準備をすませると鍛冶場へと向かっていく 秀人のことを弾十郎にも話さなければいけない
そう話ながら歩いていくと鍛冶場が見えてきた 鍛冶場の前には弾十郎が立っている
「弾さんお待たせ」
「おぅ!待ってたよ ところでサクラちゃんその格好で行くのかい?」
サクラは頭に銅の額当て半袈裟に皮の腰巻 そして手には菊池槍といった姿をしている それを見た弾十郎がサクラにそう言ってきた
「うん これしか持ってないしネ これがどうかしたの弾さン?」
「やっぱりか…こっちに来て薬師の修行ばかりしてたみたいだからな 新しくしてないんじゃないかな?とか思って用意してたんだよ 作ってて正解だったな これ着れると思うから着てみな」
そういうと弾十郎は装備の一式をサクラに渡す それはどれもサクラの見たことのない装備だった
「あら…用意してくれたんですか弾さン?なんだかいい物っぽいけど 私もいろいろ買おうとは思ってたのよネ じゃあ後でこの武器防具一式の材料費を渡しますネ」
「あぁいいってことよ 浜名湖まで一緒に行ってもらう訳だし この手のものなら簡単に作れるしな」
「そうなノ?でも…それじゃ弾さんが損してないでス?」
「先行投資ってやつかな?サクラちゃんがいい薬作れるようになったらそれで返してくれよ それより早く着替えてきな」
「うん じゃあ着替えてきますネ」
そういうとサクラは薬研へと入っていった 弾十郎は純菜へと向き直ると純菜が愛用している小刀を見せてくれと言い出した
「あぁやっぱりだ刃こぼれおこしてるな これじゃもう使い物にならんな…やっぱり純菜ちゃんの分も作っておいて正解だったな ほい、純菜ちゃんにはこれだ」
「あら私にも作ってくれてたんだ ありがとう弾さんいつも助かるわ」
「いやいや いいってことよ 物を作るってぇのは鍛冶屋の本懐だからな まぁこれも簡単な材料で作れるものだし遠慮なく使ってくれ それにこいつらもよろこぶだろうしよ」
「簡単……って弾さん無理してない?材料費ぐらいは払えるけど?」
「大丈夫だ そんな心配しないで存分に使ってやってくれ」
着がえ終わったサクラが薬研から出てくる 頭には前と同じ銅の額当てそして体には大鎧、絹の腰巻 右手には十字槍が握られていた
サクラは今自分が身に付けているものを見ながら感心していた 見た目重そうに見えていた大鎧だったが実際に着てみると案外軽い
軽いので強度的に問題があるか?といえばそうではない かなり硬い材質で出来ている 改良されているのかサクラにぴったりのサイズだった
それに右手にもつ十字槍 これも扱いやすい長さと重さなので十二分にサクラの実力を発揮してくれることだろう
「弾さん これすごいネ」
「おぉ 小さすぎたかな?とも思ったんだが大丈夫みたいだな」
「うんぴったりですねこれありがとう弾さン ところで質問なんだけど どうしてこれ黒い色してるの?」
「ん?あぁ それは癖で…まぁ気にしない!」
何かあるのだろうと思ったが深く追求するのはやめた サクラは大鎧の着心地や十字槍の使いやすさを確かめていると そこへ秀人がやってきた
「おそろいででござるな みなさん」
「本郷さんじゃないか どうしてここへ?」
「わァ!忘れてタ…あのね弾さん昨日本郷さんに会ったのよそれで浜名湖へ行くって話をしたら真さんが心配だからって一緒に行ってくれるってことになったのヨ」
「そういうことでござるよ 拙者も連れて行ってくれとお願いしたのでござる」
「そういうことか それは頼もしいな人手は多い方がいいかもしれないし お願いするよ本郷さん」
「お任せくだされ まぁ何もないにこしたことはござらんが いざとなったら修行の成果を存分に出す所存ゆえ」
じゃあ行こうか そう弾十郎がいいサクラ達は岡崎をはなれ遠江にある浜名湖へと向った
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