サクラ達は淵野の大蜘蛛がいた場所から奥へと向っていた やはり奥へと向うにつれ嫌な雰囲気が漂ってくるのがわかる
サクラは今までこれほど嫌な雰囲気を感じたことがない 体にまとわりつくような感じがサクラの全身を襲ってくる
一体何が奥にあるのだろう? そう考えながらサクラは歩いていると前を歩いていた真鉄が注意をうながす
「前に段差があるぞ」
真鉄の声と重なるようにアァァアァァァァという声も聞こえてきた それはとても人間の声には聞こえなかった
まるで何かを搾り出すような声 奥から聞こえたその声に生気は感じられない
「なに、今の声ハ??」
嫌な感じが一段と濃くなっていく サクラは不安になる心を必死に抑えつつ前を行く真鉄と弾十郎に追いつくため足を速める
前を行く真鉄が段差の前まできたときその足がぴたりと止まった そしてその段差の下を眺めている
真鉄の顔から血の気が引いていくのがわかった
「な!なんだこ…モガモガ」
大声を出していた真鉄の口を弾十郎が素早くふさいだ 何事かとサクラ達も真鉄のいるところへ走る そして真鉄が見ていた段差の下をみるとそこには
わらわらと沸いた亡者が徘徊しているのが見えた 一人や二人ではないそのj狭い空間に亡者がひしめくようにうごめいている
とてもこの世の光景ではない まるでこの場所が地獄とつながり亡者が沸いてきたと思えるほどだった
「こ…こんなにいるのか…」
弾十郎は真鉄の口を押さえたままつぶやいた 弾十郎も同じ気持ちなのだろう その顔は苦虫を潰したような顔になっていた
口をふさがれた真鉄が弾十郎の腕をパンパンと叩いている 弾十郎は真鉄口をふさいでいることに気づきその手をはなした
「こ、殺す気か!死ぬかと思ったぞ…しかしこんなにいるとは思わなかったな」
「うむ ちょっと多いな…どうしたものか」
「ここはまお姉の出番だよ」
銃はまおを見ながらそういい まおは銃に応えるううなづくと肩からさげている袋から鼓を取り出した
「はい 私の周りに来てね~離れちゃダメよ?」
そういうとまおは袋から取り出した鼓を打ちはじめる ポンポンという心地いい音が洞穴に響きわたる
するとまおを中心に風が奔りサクラは体が軽くなるのを感じた まるで浮いているような感覚 一体なにが起こっているんだろうとサクラが考える前にまおはさらに鼓を打つ
すると今度は目の前に何かが通り過ぎるのを感じた しかし何かが通り過ぎたというだけで体には何も感じない
「じゃ行きますよー みんな着いてきてね」
さらにまおは鼓を叩く サクラは自分の体になにがおこっているのかわからず見ていると足元からなぜか薄くなっていくのが見えた びっくりする間もなく体全体にそれは拡がった なにこれ?と思ってまわりにいるみんなを見てみるとサクラと同じ状態になっている
しかしみんなそんな状態になっているにもかかわらず驚きの表情はない サクラだけが自分の身になにがおこっているのかわからず狼狽していた
「こ、これは一体なんでス?なにがおこってるノ!?」
サクラだけ何がおこっているのかわからなかった 狼狽しているサクラにまおは優しく語りかける
「サクラちゃんびっくりしなくて大丈夫だからね さぁ行くわよ、神隠しの時間は短いからねみんな急で」
いくぞ!という弾十郎の声でいっせいに走りだす 遅れてサクラも走り出し弾十郎達の後を追った
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