洋士の集めていたのは自然の気 陰陽道の基礎五行相生を基にして集められた気を体内に取り込みそれを練り上げる
練り上げた気を一点に集めそれを解き放つ術
この術は一歩間違えれば術者を殺してしまう 体内に取り込んだ気を上手く扱えなければ暴走し体内に取り込んだ気が体を破壊してしまうのだ
この術を扱えるのは陰陽道を熟知しているものに限られる 洋士はそれだけの力を兼ね備えた人物だということだ
陰陽道究極の術ともいえる光が今、真希へと迫っている 真希は己を狙えと言った
避けてくれると思い太極を放ったのだが真希はいっこうに避けようとしない
早く避けなければ危ない いくら洋士でも一度放った太極の光を止める手立てはない
太極の光は避けることなくその場に立ち尽くしていた真希を容赦なく巻き込んだ 真希は足だけを残しそのほかの部分は消し飛んでしまう
真希を貫いた太極は勢いを殺すことなく亡者の群れに直撃する 太極は真希を消し飛ばしたとき同様亡者を消し飛ばしていった
そして堕天女がいる祭壇のところまでの道が開ける 堕天女の場所まで行くのなら今がその好機なのだが弾十郎は呆然と足だけになった真希を見ていた
「………お……お頭!?」
それは洋士も同じであった 避けてくれると思っていた真希が今、足だけを残し消え去ってしまっている
なぜ避けてくれなかったのか そう思っていたとき二人の背後から聞きなれた声が聞こえてきた
「よし上手くいったな 走れ弾、時間がないぞ!」
「あ……えぇ?お、お頭!?」
声のしたほうに振り向くとそこには平然と立つ真希の姿があった そして足だけになった真希の方はまるで陽炎のように消え去っていた
洋士の太極で消し飛んでいたと思っていた真希は残像だった
残像を残すほどの神速で真希は弾十郎と洋士の背後へと移動していたのだ
「早く行かんか弾 なに呆けてるんだ」
ぼーっと立ち尽くしている弾十郎の背中を真希は蹴り飛ばした 転がりそうになりながらも弾十郎は体勢を立て直しそのまま堕天女まで伸びた道を走り出した
「よし次は銃、ユダ、サクラ、まお行け時間がないぞ 大臣と葵は最後だ向こうへ着いたら二人で結界を張れ あの気持ち悪い女と取りまきは任せる 他の亡者はあたし達が引き受けるからな結界で遮れ」
了解だと葵はいい銃、ユダ、サクラ、まおが走っていったのち洋士と一緒に走りはじめる
サクラは弾十郎を追い走る 葵と真希たちが作った道はまだ葵の放った紅蓮が燃えているため亡者が近づけない状態だったのだが
洋士の太極で亡者を吹き飛ばした場所には数人の亡者が道をふさぎはじめていた
「くっ やはり集気が少なかったですか…」
洋士がくやしそうにつぶやく しかし先頭を走っている弾十郎は走るのを止めない それどころか走るスピードをさらに上げていく
弾十郎はスピードを上げながら拳を握りその拳に力を込めていった そして集まってきている亡者につっこむ
「じゃまだ どきやがれえええぇぇ!」
弾十郎は走りながら亡者に拳を叩き込んでいく 弾十郎の拳を喰らい吹き飛ばされた亡者がさらに亡者を巻き込み道をあけていった
弾十郎が集まる亡者を止めていたおかげで堕天女のそばまでサクラは走りぬくことが出来た そして葵と洋士がやってくると弾十郎も亡者に攻撃するのをやめサクラ達のところまで走ってくる
葵と洋士はサクラ達の場所へと到着すると同時にふりかえり剣印を結ぶ
洋士は右手で剣印を結んだまま袖から呪符を取り出すとそれをばら撒いた
結!と二人は同時に叫ぶ 堕天女と亡者の群れの間に結界が張られさらに洋士の投げた呪符が結界に張り付いていく
呪符で結界を強化したのだ 亡者の力ではこの結界は破れることはない
真希は結界が張られたのをみて満足そうにうなづいた 呪符で中にいるサクラ達の様子はみることは出来ない
「さぁやるぞ こんな雑魚どもに遅れを取るなよおまえら!」
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