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浜名湖底洞穴編

そう、これで終わりではない 7体の内1体が倒れただけなのだ
さらにまお、洋士が仕掛けた術の効果もすでに切れている
襲ってくる亡者達の猛攻を弾十郎が食い止めている 止まっていたものがいきなり動き始めたので少し対応が遅れがちだ
弾十郎の負担を軽くするためと言いながらその実さらに負担をかけさせてしまっているような気がして洋士は少し落ち込んでしまった
銃も早く弾十郎達が戦っている場所へ戻りたいと思っているのだが身体が言うことを聞いてくれない
そんな焦りがサクラには手に取るようにわかる しかし今無理をしても銃個人だけではなく弾十郎達にも迷惑をかけかねない

「銃さん…でしたっけ、焦っちゃダメですよそれでは気は回復してくれないでス はい、心を落ち着けて深呼吸しテ」

「でも……」

「でもじゃないでス、弾さんたちの下に戻りたいのなら言うとおりにしてください、はい深呼吸でス」

サクラは銃の目の前で大きく深呼吸してみせる、しぶしぶながらも銃もサクラと同じように大きく息を吸い込み、そして吐き出す
数回深呼吸をした、ただそれだけの行為なのに身体が少しだが言うことを聞いてくれるようになってきた
サクラは銃が深呼吸している間、じっと銃を見ていた 気の流れが深呼吸をするたびに良くなってきている
しかし先ほどの禍々しい気を発していた影響なのか治りが遅いようにも感じる

「うん、動くようになってきたよ、これならいけそうだ」

「よかtった、でも銃さん今の技…あまり多用しない方がいいでス、あれには何かイヤな感じがするかラ…」

「忠告ありがとう、でも今はそんなこと言えない状況だしね」

「それは分かってるつもりですけど……」

「大丈夫だよ、それじゃ」

そういうと銃は弾十郎達の下へと戻っていった そのまだぎこちない後姿を見ながらサクラは心配になっていたあれで大丈夫なのだろうか?と
その後ろ姿を見ながらサクラは先ほど銃が使っていた技のことを考えてみた、あれは人の力を凌駕している
あんな力を何度も使っていけばやがてあの力に飲み込まれてしまうのではないか?
狂気といえる気に飲み込まれてしまったら二度と戻ってこれないだろう
そもそもあの力の源は一体何なのか?それすらわからない今の自分には何も出来ない
悩んでいるサクラを見てその考えを見透かしたようにまおは優しく話しかける

「サクラちゃん、あまり心配しなくても大丈夫よ あの子は、銃は強い子だからね」

「でもあの力ハ…」

「わかってるわ、その事は私もそれに当然銃にもね、あれは人には過ぎた力だって でもね、人の意志はそれほど弱くはないの、力はどこまでいっても力、それを使う者がどういう使い方をするのかそこが問題なの」

「使い方…ですカ?」

「そう使い方、力に溺れるかそれとも制御し自分のものにするのかそれを決めるのはその人の意志、強い力を求めるのなら考えなくてはいけない、その力の使い方を…壊すために使うのかそれとも護るために使うのか、そしてサクラちゃん貴方の仲にも強い力があるのよ、だから貴方も考えなくてはならないの」

「私の中にもっテ…そんな力私にハ」

そこでまおはパンと手を叩く

「はい、この話はとりあえずここまで、今は目の前のことに集中しましょう、いいわねサクラちゃん」

そうまおはいい前を向くように促すとサクラもそちらに眼を向ける そこには堕天女達と戦う仲間がいる
そうだ今はこの状況をなんとかしないと サクラはすぐに術へと移れるよう印を結ぶ
先ほどまで姿を消していたユダも今は戻ってきた銃と一緒に戦っていた
そんな中、一番消耗している弾十郎の姿が目に入る、早く治療しないと
サクラは結んでいた印に集中する その時、葵と戦っていたはずの死霊使いが葵を無視し弾十郎へと振り向いた

「あたしを無視するとはいい度胸じゃないか!」

葵が薙刀を死霊使いに叩き込もうとしたそのとき死霊使いの口が大きく開いた
声にならない声で死霊使いが叫んだその瞬間、サクラはバキン!という音をまじかで聞いた
何かが壊れる音、一瞬なにがおこったのかわからなかったがすぐにその異変に気が付いた
今までサクラの周りには白い霧のようなものがあり詠唱を助けてもらっていたのだがそれが綺麗に消えていた
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