男達は炉の前で金槌を振っている 炉の熱気でかなりの熱さだ 普通の人ではこの熱気に近づくことさえ難しいだろう…だが、男達はそれを意に介した様子もなく金槌を振って黙々と何かを作り続けている
そして作業が終わったのであろうか、一人の男が背伸びをし始めた
「よっしゃ~終わった~! 真ちゃんそっちはどうよ?」
「ヽ(*^∇^)ノ」
「真ちゃん…… 終わってないのか…仕方ねぇな~…」
その大きな背中はまさに鍛冶屋!というふうな威厳というか風格が漂ってきている 純菜は迷いなくその二人組みに近寄り声をかけた
「弾さん お願いしてたもの出来てます?」
「おぉ 純菜ちゃんか! 出来てるぜ、自慢じゃないが業もんだぞ ちょっと待ってな」
純菜の問いに答えたこの男の名は高坂弾十郎 巨漢の鍛冶屋である そして弾十郎は立ち上がり鍛冶場の奥のほうから1本の槍を取り出してきた
「どうよ? いいもんだろ?腕によりをかけて作ったからな」
弾十郎から槍を受け取り 純菜はその槍を軽く振ってみる どのようなものなのか確認しているのだろうか?
「うん 長さも重さも申し分ないわ ありがと弾さん」
「いやいや~真ちゃんも手伝ってくれたしね なぁ真ちゃん」
「ヽ(*^∇^)ノ」
もう一人の男の名は嘉冶真鉄 少し垢抜けた感じのする人物である が、それは人を不快にするものではなく むしろ楽しませるといった感じか 三人で談笑している所を邪魔しても悪い サクラは少し離れたところで三人を見ていた 仲良しなんだろうなと見ていたら視線に気が付いたのか真鉄がこちらを見た
目が合い何もしないのは失礼だろうと思いぺこっと頭を下げる 真鉄もつられて頭を下げていた
「なぁ 純菜ちゃん…この娘誰だい? ここじゃあまり見かけない娘だよな っていうか金髪だし」
真鉄がサクラを見ながら純菜に聞いた 弾十郎もサクラに気がついたのか驚いた顔をしていた サクラは一瞬逃げようかとも思ったが踏みとどまった 逃げるのはこの二人にも失礼だし なにより純菜にも失礼だ どうしたらいいんだろ?とサクラが迷っていると弾十郎と真鉄はなにやらひそひそ話を始めている
「お、おい真ちゃん この娘…異人じゃないのか?」
「うむ、だろうなぁ 金髪だし目の色は藍いし どうみてもなぁ…」
「真ちゃん何か聞いてみろよ 俺、異国の言葉なんかわからないよ」
「ヽ(*^∇^)ノ」
「・・・・いや、真ちゃんそれじゃわからないから…体で表現してどうすんだよってか困った顔してんだろ」
「や~俺も異人さんって初めてみるしな~ やっぱりダメか?じゃ俺の肉体美を披露してみるか?」
「ってそれはやめろ!ただの変態になるぞっていうか体使うことを頭から切り離せ!一体何がしたいのかさっぱりわからん…」
「ふっ…安心しろ弾ちゃん俺自身わかってないからな」
自慢げに胸をはる真鉄 その真鉄をため息まじりで弾十郎は見ていた
二人のやり取りを見て純菜がクスクスと笑い出す これはどうしたらいいんだろ?とりあえず挨拶はしたほうがいいのかなと思いサクラは口を開いた
「はじめましテ、御堂サクラと申しまス」
普通に日本語を喋りぺこっと頭を下げるサクラを見て驚いた二人は硬直していた、何か言おうにも声にならないという様子だった あっけに取られる二人の様子を見ていた純菜が今度はケタケタと声を出して笑い出していた サクラも呆然としている二人にどうしていいかわからず純菜に助けをもとめる
「純菜ちゃン……た、助けてよォ」
「あははごめんごめん 説明するね」
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